2008年3月10日月曜日

【報告】第4回建築夜話 「正しい薬の服用法」 講師:笹子えり子氏(神戸薬剤師会)












報告:事業委員 久宝 弘幸


 去る 2 月 21 日(木)19:00~私学会館において第 4 回建築夜話を開催いたしました。
 各界のプロフェッショナルとの交流という趣旨のもと今回は神戸市薬剤師会理事であり、同会で大規模災害対策委員会委員長を務めておられます笹子えり子先生にご講演をお願いいたしました。
 今回のテーマは「正しい薬の不使用法」という事でご講演頂きました。
 まず初めに薬剤師の業務内容についてのお話がありました。薬の調剤、販売は勿論のこと、薬品開発、毒物麻薬の管理、食料品の安全管理等と多岐にわたる業務内容があるという事を知りました。
 また目に見えない重要な仕事に医師、製薬会社との副作用状況の共有化があるそうです。常に密に連絡を取りあい安全に服用出来る事を目的に日夜努力をされておられます。病気になり病院に行って医師の話は聞くけれど薬剤師の話は聞かない場合がほとんどですが、処方された薬について薬剤師に相談するという事は重要な事だと講演の冒頭で既に感じることが出来ました。


 薬の種類についてのご講演の時に思ったのですが、いかに我々が薬について知らないかを認識することができました。
 例えば胃薬ですが、市販の胃薬だけでも作用が 8 種類もあるのをご存知でしたでしょうか。作用がそれぞれ異なりますので市販薬といえども症状にあった薬を選定しないと症状を悪くする場合が
あるそうです。「薬をご購入される場合は必ず薬剤師にご相談下さい」とのお言葉でした。
 いろいろと興味深いご講演を頂いたのですが、私自身が一番印象に残った内容は薬の開発についての講演でした。
 昔の薬の開発は経験や統計、民間療法を元に医学部、薬学部が中心に開発が行われる症候学が中心だったそうです。現在は既存の成分を実験室で合成を行う合成学が中心で農学部や工学部の開発が多いそうです。現在すでに始まっているそうですが、未来においては遺伝子学者、IT業者と一緒に開発を行うそうです。白衣の研究者が試験管を持って研究するといったイメージとは異なり、全てをパソコン内で行う理論合成学が中心になるそうです。

 墨壷や下げ振りが現役道具な建築業界の事を考えれば、あまりのギャップにただただ驚きを感じました。私自身の仕事は現場管理ですので経験や統計を否定するつもりはありません。また、経験を重ねる事が建築に必用な事だとも思っております。
 ただ、業界が違うと言えばそれまでですが、建築業界は他業界と交わり辛く根底から考えを変えるのが難しい業界だという事を感じました。
 他業界との交流が自分を見つめ直す良い機会だと再認識しております。


 最後に笹子先生より建築士会の皆様に伝言がございましたのでお届けいたします。

“病気になって薬を飲むのは仕方ありませんが、病気になる前に普段の生活を改める様にして下さ
い。それでも駄目ならその部分を補う形で薬を服用してください。 万能薬は存在いたしません。“

とのお言葉です。


  • 自己管理 (民間療法等の実践) 
  • 食事療法 (塩分、糖分、油等の摂取を控える) 
  • 運動療法 (適度に体を動かす、スポーツをする) 
  • 生活パターン(ストレスを溜ない、睡眠をよくとる、規則正しい生活をする) 


以上を普段から心がける様にしてください。


報告書(PDF)