2008年7月10日木曜日

【報告】第6回建築夜話 「巨木の移植」 講師:河合浩彦氏(樹木医)


報告者 :事業委員 戎 孝之

講師:河合 浩彦氏

 今回は神戸を拠点に活躍されておられる樹木医の河合浩彦様を講師に迎え「環境を支える樹木」をテーマにお話をしていただきました。
 最初に河合様が大学を卒業直後に研修の為アメリカのカーネーション牧場へいかれ、そこで、いきなり牧場のオーナーから牧場内に日本庭園を造って欲しいと依頼を受け、四阿を含む小庭園を造り上げ喜んで戴いたこと。又、その時知り合った日系二世の造園会社の社長から、自社の経営を任せたいとのオファーを受けたこと。若い頃より才能を発揮されていることがうかがえます。

 高さ約 100m の高さの大きな樹木でも根の深さが約 50cmから1mと想像以上に浅く、又、周りの木々とは互いに根の張る範囲には侵入しないこと。自分の種は自分の木の下で芽生えても育たない仕組みなど、今まで知らなかったことを教えて頂きました。
 樹木医として活躍される河合様は県内のいたるところで、橋の付け替え、道路の付け替え等で移植、伐採される運命の樹木の保存や枯れかけた樹木の再生などを手がけられ、多くの樹木の命を救われています。その話の中で、伐採と決められると木の枝や葉っぱが萎れ、元気が無くなってしまうが、伐採されないと決まった時には、途端に木の枝や葉っぱが元気をとり戻すことを聞き、樹木にも感情があり人間と同じだと思いました。

 そして、根の約半分を取り除いても樹木は生きていけるという話。それは、河合様が独自に研究をされ、数多くの経験により得られたデータに拠るものだそうです。災害が発生し樹木が倒れたと聞けばそこへすぐに行き、なぜ倒れたか、どうしたら再生できるか。東奔西走、県外にも調査に行かれる行動力には驚かされました。樹木のことが本当に大好きで何事にも真摯に行動されている河合様には今回の講演に感謝し、今後も心を癒してくれる樹木を救い育てて頂ける事をお願いいたします。

 その他、日系二世と南天の実の話など興味深い講演を頂きありがとうございました。又、違うテーマで話をお聞きしたいと思います。

当日の模様

報告書(PDF)