2013年3月3日日曜日

【報告】建築夜話 第25夜「電気自動車の制作とデザイン(Meguru君)」の報告

建築夜話 第 25 夜 『電気自動車の制作とデザイン(Meguru君)』


日 時:2013/03/02
場 所:神戸私学会館
講 師:岡田 実(京都EV開発株式会社)、後藤 美香(九創設計事務所)


報告者:事業委員 阿部徳人


 毎回いろいろな内容で行われる建築夜話も今回で 25 回目となる。
 25 回目の今回は『電気自動車の制作とデザイン』。講師の方の一人が建築士会所属の方という事でうっすらと内容は知っていたような気になっていたが、実際に話を聞いてみると当たり前の事だが新しい発見がたくさんあった。

 では早速、内容について触れていこうと思う。
 少し前に大阪の町工場で人工衛星を作るという話があったが、今回の夜話の核となる「あっぱれEVプロジェクト」は町工場で電気自動車を作るというもののようで、4 人のメンバーを中心に進められたプロジェクトらしい。今回の夜話では、4 人のメンバーのうちデザインを担当した九創設計事務所の後藤氏と電気自動車の駆動部分を担当した京都EV開発の岡田氏を招いて「制作」分野と「デザイン」分野の話を聞かせてもらった。


 まず初めに後藤氏の方から「あっぱれEVプロジェクト」の全体の説明があり、設計士としての視点で捉えたプロジェクトの概要が説明された。制作された電気自動車はMeguru君と命名され漢字で書くと「環」で「めぐる」と読ませるそうだ。
 車に乗ることで環境問題を意識出来るようなものにしたかったとのこと。
 開発費 200 万円に大阪府からの補助 100 万円を足して全部で 300 万円の予算での制作だったので、制約が多い中での制作となったが、町工場の人情と職人の意地に支えられ妥協することなく満足のいくものが出来上がったそうだ。
 「ものづくりの精神がめぐっていってもらえたらいい」と語る後藤氏の力強いまなざしがとても印象的だった。

建築士の後藤 美香氏


 後藤氏に続いて岡田氏からは「エネルギー・食糧・高齢化社会」をキーワードにご自身が今までに関わってきた電気自動車プロジェクトについて話された。
 先ほどまでの後藤氏とはうってかわっていかにも技術屋という感じの岡田氏は「私はデザインの事は全くわからないんですよ」「デザインにはあまり興味がないから」という内容をさらりと言ってのけるなどとても個性的な方だった。
 岡田氏は話の最中何度も「発想を自由に持つ事で面白い事になる」というような事を言われており、電気自動車の技術を使ってエネルギーを持ち歩く事や電気自動車を使った新しい住宅の形など自分が想像もしていなかった話を聞かせてもらったえたのは大きな収穫だったと思う。高齢化社会の中での小型電気自動車の活躍の可能性の話も建築の分野に通じる話でとても興味深かった。

電気自動車のプロ、岡田 実氏

 今回の夜話も、環境に対する意識、ものづくりに対する思い入れ、そして発想の転換など自分の中に多くの新しい思いが残せた事に、とても満足しています。
 建築夜話では建築とは直接関係のないものをテーマにする事が多いのですが、建築士の自己研鑽という意味においては間違いなく有意義なものであると思いますので出来るだけ多くの建築士の方に参加して頂ければと思います。



 プロジェクトの問題点や今後の展開など、他にも興味深い話がたくさん聞けたのですがそれはまた別の機会にでも。(報告終わり)

報告書(PDF)