講師 宮崎 素一(赤穂市立考古館館長)
日時 平成25年9月28日(土) 午後3時〜
場所 赤穂市立有年考古館 多目的室(2階)
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(報告ここから)
講演に先立ち、まずは事業委員会・山本委員長より講師の宮崎素一氏の紹介
宮崎氏は、館長になる前にも市役所職員として文化財行政に携わっておられたこと。
赤穂市立考古館では積極的に伝統行事等、復活の為の支援も行っているなどの説明がありました。
建築物の保存や、伝統行事復活の活動を通じて兵庫県建築士会とのつながりが深くなっていったとのことです。
宮崎氏は、まず現在取り組んでおられる事を説明されます。
赤穂市には国指定の登録物になるような建造物が全部で20〜30あるとのこと。
・塩業関係の建物の調査
・田渕庭園
赤穂市ではひとつひとつ個別のものではなっく群(集団)としての登録を目指していくそうです。
・赤穂→塩業(造塩)
・坂越→海鮮問屋
そんな中、残念ながら保存される前に朽ち果てているものがいくつかあるらしく、宮崎氏が確認しているだけで、茶室が3~5棟ダメになっているとのことだそうです。
ひととおり、現状を語られた後、本日の主題である「建築余話」に沿っての話へ移ります。
建築余話とは、ご自身が携わっている保存活動の中で出てくるあれやこれやの話のことで、建築夜話(やわ)にちなんで建築余話(よわ)と題したとのことです。
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1.赤穂市の指定文化財(建築物関係)
赤穂市には国のものは無いが、それに類するものがいくつかある。
田渕庭園
3棟の茶室
本館の修理
赤穂城
→整備中
旧専売公社赤穂支局
兵庫県の指定を受けている
【参考資料】:兵庫県建築士会HP
指定を受けている赤穂支局の建物だけでなく、周りに建つ倉庫群や、輸送の為に作られた鉄道の線路なども残していきたいとのこと。
赤穂は塩のまち⇒塩業関係の建物が多い。
これらの建物も、早急に対応して残していきたい
工業関係の建物にこそ、赤穂の価値があると思われる
そのほかには
福浦の塩田跡地
現在の赤穂化成㈱の建物(旧赤穂東浜塩業組合)
【参考】:「赤穂東浜塩業組合(現 赤穂化成㈱)」検索結果
など、見所がたくさん
2.赤穂市の市街地景観形成地区
赤穂市には2つある
・お城通り地区(赤穂城周辺)
・砂越地区
【参考】:「景観形成助成金(赤穂)」検索結果
この時にされた坂越地区に調査に入って会所を残そうというときの話は興味深いものでした。
3千万で購入して、修理するのに1億かかる。
⇒保存するのにはお金がかかる
→所有者個人で保存していく事の限界
3.赤穂市の伝統的建造物群保存地区
4.赤穂城跡【国史跡】、旧赤穂城庭園【国名勝】、及び赤穂城跡と市公園整備
それぞれが指定を受けたのは、赤穂城跡=昭和46年、旧赤穂城庭園=平成14年、赤穂城跡都市公園整備=昭和30年
赤穂市ではそれぞれの整備計画を昭和60年ごろから一つの計画として同時に進めているという点で全国からも高く評価されているとのこと。
文化財は文化庁管轄、都市公園は国交省管轄なので、一緒に行っていくのは難しい部分が多い。
現在に至るまで、30年ほどかけて整備しているのだが、市民からはもう少し早くとの要望があるのだが、財政の問題も含めて問題多し。
赤穂城では版築の土塀を復元している。
【参考】:「赤穂城 版築 土塀」検索結果
版築の土塀は姫路城のものが有名だが、赤穂の復元土塀も100年後には、何らかの指定をもらえるだろうとのこと。(笑)
5.その他の整備(田淵氏庭園【国名勝】、有年地区歴史公園、)
坂越地区の奥藤御殿(現 奥藤酒造)
どの建物にも共通する話として、人が住んでいる所ではまだマシだが、居ないところは朽ちるのも早い。だから、早く調査にいかなければいけないとのこと。
建物を残すのは無理だとしても、せめて図面を書くための測量だけでも入りたい。
潰してしまうのは(潰れてしまうのは)あっという間。
宮崎さんの切羽詰まった痛切な叫びが聞いている者の心に届いていたと思います。
6.その他
有年牟礼農村舞台
坂越船壇尻
平成23年に復活(兵庫県建築士会赤穂支部も協力)
曳きとんど
平成25年度事業として、平成26年1月13日 PM4:00から行う
松岡医院(診療棟)
図面として残していく
立場
11月に取壊し。
現在は中に入れない
この建物がなくなると、有年には宿場町が全部なくなってしまう
神社建築のカトリック教会
赤穂神社が昭和25年に協会に売られ、現在の赤穂カトリック教会として残っている。
10月中ごろに取り壊される
壊される前に、図面だけでも取らせて欲しいと思っている
時間がない
【参考】:「赤穂 赤穂神社 あけぼの幼稚園」検索結果
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冒頭で赤穂市立有年考古館は「日本一、小さい考古館」との説明がありましたが、宮崎さんは「有年考古館を、日本一わかりやすい考古館にする」と語られました。ほんの2時間足らずの時間を一緒に過ごしただけですが、きっとそうなると僕は思いました。
講演会の最後に山本委員長から、有年考古館は年間を通じてたくさんのイベントを用意しているとの説明がありました(写真で山本委員長が手にしているのはイベント案内です)
講演後、有年考古館1階で開催されていた特別展「渡辺うめ 農民人形展」を宮崎さんや学芸員の方に案内して頂きました。とても人気のある特別展らしく、この日だけで400人もの方が有年考古館を訪れたそうです。400人という数字は有年考古館の一日来館者数の最高記録だそうです。
内容が盛りだくさんであり、また地域独特の名称もあったりで、全てを聞きとる(メモをとる)事が出来なかったのはすごく残念でしたが、とても面白い話ばかりで、あっという間の2時間でした。
いつの日か、「日本一わかりやすい有年考古館」をもう一度訪れて、宮崎さんのお話をゆっくりと聞いてみたいと思いました。(有年考古館の玄関部分は旧村役場の建物を移築されたものだそうです)
会場を後にして駐車場へ向かう途中に、考古館を造られた松岡医院の松岡さんの銅像がたっていました。(また、お会いしましょう)